支倉凍砂さんの小説「狼と香辛料」の第18巻を読了しました!
まず最初に一言言わせていただきますと、
「よくぞ出してくれた!!」
5年前に完結してしまったこのシリーズを、再び読めるなんて思いもしませんでした。しかも、内容は変わらずの面白さ。「せっかくキレイに終わった作品なのに・・・」という人も居るでしょうが、私はまだまだ読みたいです。
18巻のあとがきには、19巻が出そうなことが書いてあったので、まだ楽しむことができそうです。いっそのこと、支倉凍砂さんのライフワークにしてくれないかな?(笑)
さて、その狼と香辛料 第18巻の感想です。
18巻は短編集の体裁となっており、電撃文庫MAGAZINEに掲載された短編3本と、書き下ろし中編の1本が収録されています。それぞれのあらすじは、次の通り。
◆旅の余白
ロレンスとホロがニョッヒラで湯屋「狼と香辛料亭」を始めて十数年が過ぎた。経営そのものは順調だが、それまでずっと働いてくれていた青年・コルが聖職者になるための旅に出て行ってしまい、さらに自分の娘のミューリまでも出て行ってしまったため、人手不足が深刻な状態であった。そんな湯屋の日常を綴ったお話。
◆黄金色の記憶
湯治のシーズンも終わりに近づいたため、閑散としている「狼と香辛料亭」にフラッとやってきた気むずかしそうな老人。何か探し物をしているようだが、なんなのかよくわからない。ロレンスが知恵を絞って、その老人のために一肌脱ぐ、心温まるお話。
◆狼と泥まみれの送り狼
ロレンスとホロが、久々に旅をすることになった。村に貯まった小銭を両替するために、大きな街・スヴェルネルまで行き、いろいろと情報収集したり、祭に参加したりしていたが、意外な人物が現れ、不穏な空気が漂い出す。
◆羊皮紙と悪戯書き
コルが旅に出る前の、コル視点のお話。ロレンスとホロの娘・ミューリが、いかにお転婆で、小悪魔なのかを描いたお話。
とまあ、こんな感じなんですが、はっきり言いますと、どれも質の高く面白い小説となっています。
そして、このシリーズといえば、名物はロレンスとホロの夫婦漫才!(本当に夫婦になってしまいましたが(笑)) それが、一度完結して5年経過した今でも健在なのはとても嬉しかったです。
それと、これまで何度もピンチを切り抜けてきたロレンスの知恵も健在です。唯一の中編、「狼と泥まみれの送り狼」では、最悪のシナリオに向かいかけていた状況を、ギリギリのところでロレンスのアイデアが炸裂して切り抜けます。しかもついでに人手不足まで解決してしまったという(笑)
ライトノベルというジャンルの小説では、ピンチになったとき、究極の奥義とか、奇跡の魔法とかで切り抜けることが多いのですが、そこを「知恵」や「機転」で切り抜けるのが、この狼と香辛料のおもしろいところなんですよねー。19巻も出そうなので、これからも期待しています♪
最後の短編「羊皮紙と悪戯書き」は、9月に発売になった別シリーズ「狼と羊皮紙」に続く、前日譚みたいなものです。こちらのシリーズはまだ読んでいる途中なので、別にレビューしますね。
いやあ、これ、本当に支倉さんのライフワークにしてくれないかな・・・・
2~3年に一冊でも良いので、ずっと出して欲しいです!